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2008.07.08

国家がうまく機能するために

民間防衛 新装版―あらゆる危険から身をまもる

出版社:原書房( 2003-07 )

定価:¥ 1,575

Amazon価格:¥ 1,575

新書 ( 319 ページ )



「今日のスイスは非常な平和愛好国である。しかし、常にそうであったのではない。過去には過失もあった。その過失は、われわれが将来をはっきり見通すための指針としての役に立つ。わが祖先は自由と独立を守るために戦った。この点で彼らの英雄的行為に感謝を捧げる。しかし、わが祖先は近隣の土地を侵略し征服するためにも戦った。このため彼らは破滅しかかった。が、そのことを充分に理解して、侵略戦争を放棄したのである。」

この箇所もまた、「スイス」を「日本」に置き換えて読むことの出来る箇所である。この文の後に、こんな文章がある。

「革命は、しばしば、益より害となる。革命のあとの恐怖政治は、歴史の示すとおり、独裁制による血まみれの様相を呈した。無秩序は、結局、暴君が現れて鞭をふるうことを求める。」

まるで、中国のことを書いているように見える。日本にもかつて革命を求める人たちがいた。今でもいるのだろうか?このような人達が益よりも多くの害を為して来たのは歴史が証明している。私も個人的に、こうした活動している日本人を知っているが、その多くは嘘をついたり人を騙したりすることを、恥ずるどころか自慢げに行う人達で、彼らの思想云々についてよりも、人間としての資質に大きな問題を抱える人達が多かったように思う。これは中国も同じことであって、私の知る中国共産党員は、食事をして、酒を飲んだりして、気分がよくなってくると、自慢げに誰を騙した、誰をやっつけたという話をすることがあった。この人物はそういう性質を「中国的」と称していた。例えば、「I am very Chinese」(私はとっても中国的だからね!)という感じで使うのだった。

覚めた目でみつめ直してみれば、全く哀れとしかいいようがない。反道徳的な性質を、民族の優越性とする彼らは哀れである。全ての中国人がこうではないと信じたいのだが、現在の中国の支配階層である幹部共産党員がこうやって自慢しているのだからどうしようもない。ただし、我々日本人だってこうなる可能性があることを忘れてはいけないように思う。

表題の「民間防衛」のこの部分は、「国家がうまく機能するために」と題して、スイスの民主主義について色々と書かれているのだけれど、日本が「国家がうまく機能するために」必要な要素として、中国との比較で考えた場合に、思いつくのは「誠実さ」であると思う。

中国の謀略宣伝が素晴らしく効果を挙げているのは良く知られていることである。反面、日本はこの分野については非常に弱いとされている。ただし国家としてどちらが上手く行っているのだろう?と考えているとやっぱり日本の方がずっと優れていると思う。これは先述の中国共産党員氏の自慢話からもわかるように、「不誠実」な人間が謀略や宣伝を得意とするのは当たり前のように思うが、「不誠実」さを基として国家を成立させるのは難しいと思う。

中国に長くいると、この「中国的」な不徳を受け入れず、染まらずにいるために、大変気を使うようになる。日本人にだって嘘つきはいるし、不誠実な人はいる。ただし日本の場合はそれを敢えて自慢するようなところまで腐敗はしていないと思う。少なくとも日本は社会的な風潮としてそういう不誠実さを許容するような社会ではない。「I am very Japanese!」と自分の狡猾さをひけらかすようなこともない。

「民間防衛」の表題の箇所では次のような一文がある。

民主主義は、何も生み出さないでじっとしていることと、破壊的に転覆することとの間に通じる、狭い、山の背のような道を用心深くたどらねばならない。

スイスにとって民主主義とは祖国とイコールなのではないかと思う。これはこの本の他の箇所を見ていてもその通りである。上掲の一文は「民主主義」を「国家がうまく機能するために」を置き換えても意味は成立するし、これは個人の資質としても同じであるように思う。中国に長く生きて、多くの中国人との交流を通じて、いつも思わされたのは彼らの腐敗に染まらずに「日本人」として生き続けることの難しさだった。それは全く「何も生み出さないでじっとしていることと、破壊的に転覆することとの間に通じる、狭い、山の背のような道を用心深くたどる」かのような道のりだった。日本の場合、国家がうまく機能するためには、中国(もしくはその他の国)の腐敗を遠ざけつつ、内なる腐敗を防ぎ続けることにあるのではないかと思う。中国人は誠実さを失うことの引き換えに金銭や地位を得て満足出来るかも知れないが、誠実さを失った日本人には何の値打ちもないように思う。

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