中国における反日宣伝というのは、許し難き「戦争犯罪者たち」の罪状を、ある種の真面目さと厳粛さをもって、後世に伝える重要な役割を持ったものなのではないかと、日本人の我々は思うわけですが、実際のところはどうなのかというと、上のようなふざけた内容のものの方が多いと思います。もちろん真面目なドラマやドキュメンタリーもあるわけですが、そういうのはどちらかといえば少数派になるのではないかと考えられます。

なぜかといえば、反日というのは中国の基本的な国策であって、これはありとあらゆる階層・世代・地域・民族・職業の全人民にくまなくあますことなく浸透せねばならない認識であるからです。真面目なドキュメンタリーだけではほとんどの人民は見ることはないでしょう。真面目なドラマだけでも、見る人は限られてきます。幅広く見てもらい、日常の一部のようにして受け入れられるためには、コメディやバラエティの分野においても徹底して行われなければ、折角の国家あげての宣伝も意味がなくなってしまいます。

ただし、この「全人民反日化」という方針が意外な結果を生み出してしまうこともあるのです。

真面目なドラマ/ドキュメンタリーにおいて、日本人ないし日本兵というのは、屈強で残酷な武士、地獄の底からやってきた化け物、ターミネーターのような殺人マシンとして描かれる必要が出てきます。そうでなければ南京で2ヶ月に30万人を殺したとか、日中戦争の8年間で3500万人から5000万人を殺害したというありえない数字を信じられなくなってしまうからです。この結果、中国人の中でも比較的頭のいい人、大学を卒業している人の方が日本人を激しく憎み、激しく嫌うようになります。

そうかと思えば憎むとか嫌うというよりも、単にバカにしているだけの人たちがおります。日本人ないし日本兵というのは、アホでマヌケで女好きで、酒飲みで騙されやすくて居丈高で日本刀を振り回すのが好きで弱いものいじめが好き。でも追い詰められるとすぐ泣いて、切腹しようとする・・・という感じです。侮蔑と嘲笑の対象とみなしているのです。この手の人たちはどちらかといえば学歴が高くない、教養の高くない人たちに多く見られる傾向だと思われます。

なぜそういうことになるのか?と申しますと、この手の人たちは真面目なドラマやドキュメンタリーは見ませんし、どちらかといえばコメディ・バラエティ系の番組を好むからです。この投稿で紹介した馬鹿馬鹿しい反日映画はその系統にあたります。中国では毎日午後の暇な時とか、夕食の時だとか、レストランやら床屋やらで、こういう馬鹿げた内容のドラマを見ては、ゲラゲラ笑って、「日本人ってバカなんだなぁ」、「日本人ってスケベなんだなぁ」、「日本人っていつもいばってるけど、負けるとすぐに泣き出して切腹するんだなぁ」とか思うわけです。そういう事情から中国の反日分子は、コメディ・バラエティ系統の方が圧倒的に多いことになります。

そのようにして作られた「マーケット」のニーズに応じて、政治性も歴史観もほとんど無い、単なる日本人をバカにするだけの作品が作られるようになってしまっているのです。

この手の映画/ドラマを日本で見かけることはほぼないと思いますが、中国に行けばいつでもいくらでも見る事が出来ます。中国に訪れる機会がありましたら、右の人でも左の人でも日本人であるならば、ぜひ一度はご覧になられることを強くお勧めします。

「反日」解剖 歪んだ中国の「愛国」

著者/訳者:水谷 尚子

出版社:文藝春秋( 2005-09-27 )

定価:¥ 2,300

単行本 ( 240 ページ )