簡明中国歴史地図集(夏商周~三国志の時代~清末・民国・現代)
■原題:簡明中国歴史地図集
■著者:中国社会科学院、譚其驤
■出版社:中国地図出版社
■発行時期:1996年6月(本書は去年印刷のものと思われる)
■頁数:125頁(70千字)
■サイズ:193×268×18(mm)
■重量:650g
■色:オールカラー(巻末の索引は文字のみにて白黒)
■地図点数:36枚
▲夏時代の地図:紀元前2070年頃 – 紀元前1600年頃。たぶんここに地名が書かれている場所以外にも人が住んでいたとは思うのですけれど、とりあえず地図の上ではこんな感じです。
▲秦時代の地図:紀元前221年 – 紀元前206年。夏の時代から1400年後ともなるとこのように発展していきます。ピンク色の部分というのは現在の中華人民共和国の領域を示すものかと 思ってみていたのですが、よく見ますと樺太と沿海州までがピンク色になっておりまして、これはちょっと要注意です。沿海州は確かに清の時代にロシアへ割譲 したものですが、樺太はどうなのでしょうか?後に続く地図の中でも樺太が領土として扱われていることが多いのです。調べてみますと唐代(640年)に樺太アイヌが朝貢していたとか、元や明にも朝貢していたという歴史があるそうで、そういう「歴史認識」から樺太がピンク色になっているみたいです。将来的に中国が樺太の領有を主張したり、アイヌ民族を中国の少数民族の一つと主張する可能性も無きにしも非ずです。
▲三国時代の地図:お馴染み「三国志」の時代です。どうしてもあの物語の印象が強くて、当時の中国といえば魏・呉・蜀と思い浮かべるわけですが、この地図で見てみますと、周囲に他の国が色々ありまして、何とも気になります。魏には現在の北朝鮮がすっぽり入っておりまして、若干韓国側も入っているみたいです。
▲明時代の地図:いきなり時代は飛んで明の時代となります。明というとそれなりに大きな王朝だと思うわけですが、地図で見ますと北に大きな青 い塊が不気味にのしかかって来ているように見えます。これが「韃靼」(蒙古)なわけですが、現在の我々が「韃靼」と聞くと蕎麦くらいしか思いつかないもの の、この地図で見ると当時の明の人達の「韃靼」に対する恐怖感というのが伝わってくるような気がします。
▲こちらは清時代の地図。ここまで時代が下ってくるとこの歴史地図も実用性を持ってきます。我々が清末の中国の歴史などを読んでいる時に、時折聞き慣れない 地名や、行政区画の範囲がわからないことが多くあります。でもこの地図があれば直隷省がどの範囲なのか、分離する前の蒙古の範囲と地名なども明らかになり ます。
▲今はない省名の範囲がわからないという点でいうと民国時期などはもっと手ごわいものです。「熱河」、「察哈爾」、「綏遠」と突然言われても、それがどのあたりの場所なのか、わからんではないですか。でも、この地図があれば一目瞭然にしてすぐにわかります。非常に便利で素敵な地図です。
写真の解説でほとんど本書の概要を説明してしまいましたが、つまりはこういう地図です。伝説の時代である夏代から始まって現代に至るまでの「中国」の変遷が一目にしてわかります。「あの国のかたち」はこのように時代にともなって大きく変化し、変動し続けた事がよくわかる地図です。
中国というのは長い歴史を持つ国ですが、同時に「長い歴史を語る」国でもあります。現代のことを読んでいても、その場所は後漢の時にはどうだったとか、唐代には ○○と呼ばれていたとか、△△はかつて××府と呼ばれていたとか、そういう話が出て来ることが多いのですが、そこで読み流さずにこういう地図で確認すると歴史の見方もまたいっそう深いものになるのではないかと思うのです。地理上の地点というのは、緯度いくら経度いくらの不変のものであって、それは少なくとも何万年の単位ではほとんど変わることもありませんが、地名やら行政区画というのは意外としょっちゅう変わるものでして、そこにはその当時の状況やら、そこに置かれた人々の観念が大きく作用いたします。古い地図をつぶさにみれば当時の状況やら、人々の観念もまた読み取ることが出来るのではないかと思うのです。
中国の歴史に興味のある方ならば、ぜひお手元に1冊置いていただきたいと思う地図であります。
<目次>
中華人民共和国全図・・・・・・・2100万分の1
原始社会遺址図・・・・・・・・・・・2100万分の1
夏時期全図・・・・・・・・・・・・・・・2100万分の1
安邑、帝丘附近 ・・・・・・・・・・・700万分の1
商時期全図・・・・・・・・・・・・・・・2100万分の1
商時期中心区域 ・・・・・・・・・1000万分の1
西周時期全図・・・・・・・・・・・・・2100万分の1
西周時期中心区域 ・・・・・・・1000万分の1
春秋時期全図・・・・・・・・・・・・・2100万分の1
戦国時期全図・・・・・・・・・・・・・2100万分の1
秦時期全図・・・・・・・・・・・・・・・2100万分の1
西漢時期全図・・・・・・・・・・・・・2100万分の1
東漢時期全図・・・・・・・・・・・・・2100万分の1
三国時期全図・・・・・・・・・・・・・2100万分の1
西晉時期全図・・・・・・・・・・・・・2100万分の1
東晉十六国時期全図・・・・・・・2100万分の1
附十六国・・・・・・・・・・・・・・・・・2100万分の1
宋 魏時期全図 ・・・・・・・・・・・2100万分の1
斉 魏時期全図 ・・・・・・・・・・・2100万分の1
梁 東魏 西魏時期全図 ・・・・・2100万分の1
陳 斉 周時期全図 ・・・・・・・・・2100万分の1
隋時期全図・・・・・・・・・・・・・・・2100万分の1
唐時期全図(一)・・・・・・・・・・・2100万分の1
唐時期全図(二)・・・・・・・・・・・2100万分の1
唐時期全図(三)・・・・・・・・・・・2100万分の1
元和方鎮図・・・・・・・・・・・・・・・・840万分の1
五代十国時期全図・・・・・・・・・2100万分の1
五代十国時期分国図・・・・・・・1800万分の1
遼 北宋時期全図・・・・・・・・・・2100万分の1
金 南宋時期全図(一)・・・・・・2100万分の1
金 南宋時期全図(二)・・・・・・2100万分の1
元時期全図(一)・・・・・・・・・・・2100万分の1
元時期全図(二)・・・・・・・・・・・2100万分の1
明時期全図(一)・・・・・・・・・・・2100万分の1
明時期全図(二)・・・・・・・・・・・2100万分の1
清時期全図(一)・・・・・・・・・・・2100万分の1
清時期全図(二)・・・・・・・・・・・2100万分の1
中華民国時期全図(一)・・・・・2100万分の1
中華民国時期全図(二)・・・・・2100万分の1
地名索引








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